森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について12

4 相関係数を言葉で表す

数字の意味を言葉で確認しておく。

-0. 7≦r≦-1.0 強い負の相関がある
-0.4≦r≦-0.7 やや負の相関がある
0≦r≦-0.4 ほとんど負の相関がない
0≦r≦0.2 ほとんど正の相関がない
0.2≦r≦0.4 やや正の相関がある
0.4≦r≦0.7 かなり正の相関がある
0.7≦r≦1 強い正の相関がある

5 まとめ

 言語の認知の意味分析、思考の流れ(誘発と創発)は、何れの場面も情報の認知の問題解決と未解決の組と強い相関関係があることが分かった。

【参考文献】

花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 森鴎外の「山椒大夫」のDB化とその分析 中国日语教学研究会江苏分会 2015
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
前野昌宏 回帰分析超入門 技術評論社 2012

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について11

計算表
A 7 3 10
偏差 2 -2 0
偏差2 4 4 8
B 6 4 10
偏差 1 -1 0
偏差2 1 1 2
AB偏差の積 2 2 4

◆相関係数は、次の公式で求めることができる。

相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和

上記計算表を代入すると、

相関係数 = 4/√8 x 2 = 4/√16 = 4/4= 1

従って、強い正の相関があるといえる。

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について10

A言語の認知(思考の流れ):1外から内の誘発、2内から外の創発→7、3
B情報の認知:1問題解決、2未解決→6、4

◆A、Bそれぞれの平均値を出す。
Aの平均:(7 + 3)÷ 2 = 5
Bの平均:(6 + 4)÷ 2 = 5
◆A、Bそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ-平均値
Aの偏差:(7 – 5)、(3 – 5)= 2、-2
Bの偏差:(6 – 5)、(4 – 5)= 1、-1
◆A、Bをそれぞれ2乗する。
Aの偏差の2乗 = 4、4
Bの偏差の2乗 = 1、1
◆AとBの偏差同士の積を計算する
(Aの偏差)x(Bの偏差)= 2、2
◆AとBの偏差を2乗したものを合計する。
Aの偏差を2乗したものの合計 = 4 + 4 = 8
Bの偏差を2乗したものの合計 = 1 + 1 = 2
◆AとBの偏差の合計を合計する。2 + 2 = 4

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について9

3.3 賭けをする

 澄み切った月が、暗く濁った燭の火に打ち勝って、座敷は一面に青みがかった光りを浴びている。A1B2
 どこか近くで鳴く蟋蟀(こうろぎ)の声が、笛の音にまじって聞こえる。甘利は瞼が重くなった。たちまち笛の音がとぎれた。A2B2
 「申し。お寒うはござりませぬか」笛を置いた若衆の左の手が、仰向けになっている甘利の左の胸を軽く押えた。A1B2
 ちょうど浅葱色の袷(あわせ)に紋の染め抜いてある辺である。A1B2
 甘利は夢現(ゆめうつつ)の境に、くつろいだ襟を直してくれるのだなと思った。A1B2
 それと同時に氷のように冷たい物が、たった今平手がさわったと思うところから、胸の底深く染み込んだ。A1B2
 何とも知れぬ温い物が逆に胸から咽へのぼった。甘利は気が遠くなった。A1B1
 三河勢の手に余った甘利をたやすく討ち果たして、髻(もとどり)をしるしに切り取った甚五郎は、鼯鼠(むささび)のように身軽に、小山城を脱けて出て、従兄源太夫が浜松の邸に帰った。A2B1
 家康は約束どおり甚五郎を召し出したが、目見えの時一言も甘利の事を言わなんだ。A2B1
 蜂谷の一族は甚五郎の帰参を快くは思わぬが、大殿の思召(おぼしめ)しをかれこれ言うことはできなかった。A1B1

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について8

計算表
A 1 9 10(合計)
偏差 4 -4 0(合計)
偏差2 16 16 32(合計)
B 2 8 10(合計)
偏差 -3 3 0(合計)
偏差2 9 9 18(合計)
AB偏差の積 -12 -12 24(合計)

◆相関係数は、次の公式で求めることができる。

相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和

上記計算表を代入すると、

相関係数 = -24/√32 x 18 = -24/√576 = -24/2 4= -1

従って、強い負の相関があるといえる。

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について7

A言語の認知(思考の流れ):1外から内の誘発、2内から外の創発→1、9
B情報の認知:1問題解決、2未解決→2、8

◆A、Bそれぞれの平均値を出す。
Aの平均:(1 + 9)÷ 2 = 5
Bの平均:(2 + 8)÷ 2 = 5
◆A、Bそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ-平均値
Aの偏差:(1 – 5)、(9 – 5)= 4、-4
Bの偏差:(2 – 5)、(8 – 5)= -3、3
◆A、Bをそれぞれ2乗する。
Aの偏差の2乗 = 16、16
Bの偏差の2乗 = 9、9
◆AとBの偏差同士の積を計算する
(Aの偏差)x(Bの偏差)= 12、12
◆AとBの偏差を2乗したものを合計する。
Aの偏差を2乗したものの合計 = 16 + 16 = 32
Bの偏差を2乗したものの合計 = 9 + 9 = 18
◆AとBの偏差の合計を合計する。12 + 12 = 24

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について6

3.2 甘利を打つ

 源太夫はこういう話をした。甚五郎は鷺を撃つとき蜂谷と賭をした。蜂谷は身につけているものを何なりとも賭けようと言った。A2B2
 甚五郎は運よく鷺を撃ったので、ふだん望みをかけていた蜂谷の大小をもらおうと言った。A2B2
 それもただもらうのではない。代わりに自分の大小をやろうというのである。A2B2
 しかし、蜂谷は、この金熨斗付きの大小は蜂谷家で由緒のある品だからやらぬと言った。A2B2
 甚五郎はきかなんだ。「武士は誓言をしたからは、一命をもすてる。よしや由緒があろうとも、おぬしの身に着けている物の中で、わしが望むのは大小ばかりじゃ。ぜひくれい」と言った。A2B2
 「いや、そうはならぬ。命ならいかにも棄ちょう。家の重宝は命にも換えられぬ」と蜂谷は言った。A2B2
 「誓言を反古(ほご)にする犬侍め」と甚五郎がののしると、蜂谷は怒って刀を抜こうとした。A2B2
 甚五郎は当身を食わせた。A2B2
 それきり蜂谷は息を吹き返さなかった。A1B1
 平生何事か言い出すとあとへ引かぬ甚五郎は、とうとう蜂谷の大小を取って、自分の大小を代りに残して立ち退いたというのである。A2B1

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について5

計算表
A 6 4 10(合計)
偏差 1 -1 0(合計)
偏差2 1 1 2(合計)
B 4 6 10(合計)
偏差 -1 1 0(合計)
偏差2 1 1 2(合計)
AB偏差の積 -1 -1 -2(合計)

◆相関係数は、次の公式で求めることができる。

相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和

上記計算表を代入すると、

相関係数 = -2/√2 x 2 = -2/√4 = -2/2 = -1

従って、強い負の相関があるといえる。

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について4

A言語の認知(思考の流れ):1外から内の誘発、2内から外の創発→6、4
B情報の認知:1問題解決、2未解決→4、6

◆A、Bそれぞれの平均値を出す。
Aの平均:(6 + 4)÷ 2 = 5
Bの平均:(4 + 6)÷ 2 = 5
◆A、Bそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ-平均値
Aの偏差:(6 – 5)、(4 – 5)= 1、-1
Bの偏差:(4 – 5)、(6 – 5)= -1、1
◆A、Bをそれぞれ2乗する。
Aの偏差の2乗 = 1、1
Bの偏差の2乗 = 1、1
◆AとBの偏差同士の積を計算する
(Aの偏差)x(Bの偏差)= -1、-1
◆AとBの偏差を2乗したものを合計する。
Aの偏差を2乗したものの合計 = 1 + 1 = 2
Bの偏差を2乗したものの合計 = 1 + 1 = 2
◆AとBの偏差の合計を合計する。-1 -1 = -2

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について3

3 小説の場面に適用する

3.1 鷺を打つ

 とある広い沼のはるか向うに、鷺が一羽おりていた。銀色に光る水が一筋うねっている側の黒ずんだ土の上に、鷺は綿を一つまみ投げたように見えている。A1B2
 ふと小姓の一人が、あれが撃てるだろうかと言い出したが、衆議は所詮打てぬということにきまった。A1B1
 甚五郎は最初黙って聞いていたが、皆が撃てぬと言い切ったあとで、独り言のように「なに撃てぬにも限らぬ」とつぶやいた。A2B2
 それを蜂谷という小姓が聞き咎めて、「おぬし一人がそう思うなら、撃ってみるがよい」と言った。A1B2
 「随分撃ってみてもよいが、何か賭けるか」と甚五郎が言うと、蜂谷が「今ここに持っている物をなんでも賭きょう」と言った。A2B2
 「よし、そんなら撃ってみる」と言って、甚五郎は信康の前に出て許しを請うた。A2B2
 信康は興ある事と思って、足軽に持たせていた鉄砲を取り寄せて甚五郎に渡した。A1B2
 「あたるもあたらぬも運じゃ。はずれたら笑うまいぞ」甚五郎はこう言っておいて、少しもためらわずに撃ち放した。A2B1
 上下こぞって息をつめて見ていた鷺は、羽を広げて飛び立ちそうに見えたが、そのまま黒ずんだ土の上に、綿一つまみほどの白い形をして残った。A1B1
 信康を始めとして、一同覚えず声をあげてほめた。田舟を借りて鷺を取りに行く足軽をあとに残して、一同は館へ帰った。A1B1

花村嘉英(2018)「森鴎外の『佐橋甚五郎』から見えてくる相関について」より

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