シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ5

分析例
(1)マックスが妹のクイーニーとアランの結婚式でスピーチする場面。
(2)文法2 時制と相、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。 
(3)意味1 1視覚、2聴覚、3味覚、4嗅覚、5触覚、意味2 1喜2怒3哀4楽、意味3 課題や問題の1受入または2拒絶、意味4 振舞い1直示と2隠喩。
テキスト共生の公式
(1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「空間と時間」(space and time)にする。地上に広がる無限は、空で空間となり、これが時間と双子の表現になる。つまり、「空間と時間」は、無限を表すための唯一の表現となる。
(2)文法2の時制と相には、一応ダイナミズムがある。また、空間には、ドニーブルック・カントリースポーツクラブが設定されている。連想分析1の各行の「空間と時間」を次のように特定する。

A 空間と時間=妹の結婚式場、時制は、現在形と過去形が使われている。 
B 空間と時間=妹の結婚式場、時制と相は、現在形、現在進行形、現在完了形。
C 空間と時間=妹の結婚式場、時制と相は、現在形と現在進行形。 
D 空間と時間=妹の結婚式場、時制は、現在形と過去形。
E 空間と時間=妹の結婚式場、時制と相は、現在形、過去形、未来及び現在完了形。

結果 上記場面は、「空間と時間」という無限を表すための条件を満たしている。

花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ」より

シナジーのメタファー3

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ4

【連想分析1】
言語の認知(文法と意味)
クイーニーとアランの結婚式でマックスがスピーチをする場面
A …don’t let the world begin and end for you with the – how many is it? four hundred? – people sitting here in this – the Donnybrook Country and Sporting Club today. These good friends of our parents and Allan’s parents, our father’s regional chairman and the former ministers of this and that and all the others, I don’t know the names but I recognize the faces, all right – who have made us and made this club, and made this country what it is.’
文法2 1+2、意味1 2、意味2 1、意味3 1、意味4 1

B ‘There’s a whole world outside this.’ ‘Shut outside. Kept out. Shutting this in … Don’t stay inside and let your arteries harden, like theirs … I’m not talking about the sort of thing some of them have, those who have had their thrombosis, I don’t mean veins gone furry through sitting around in places like this fine club and having more than enough to eat-‘
文法2 1+4+5、意味1 2、意味2 2、意味3 1、意味4 2

C ‘What I’m asking you to look out for is – is moral sclerosis. Moral sclerosis. Hardening of the heart, narrowing of the mind; while the dividends go up. The thing that makes them distribute free blankets in the location in winter, while refusing to pay wages people could live on. Smugness. Among us, you can’t be too young to pick it up. It sets in pretty quick. More widespread than biharzia in the rivers, and a damned sight harder to cure.’
文法2 1+4、意味1 2、意味2 2、意味3 2、意味4 2

D There was a murmurous titter. The uncle beside me whispered anxiously, ‘He’s inherited his father’s gifts as a speaker.’ ‘It’s a hundred per cent endemic in places like this Donnybrook Country and Sporting Club, and in all the suburbs your’re likely to choose from to live in. Just don’t be too sure they’re healthy, our nice clean suburbs for white only.’
文法2 1+2、意味1 2、意味2 3、意味3 1、意味4 2

E ‘-and your children. If you have babies, Queenie and Allan, don’t worry too much about who kisses them – it’s what they’ll tell them later, that infects. It’s what being nicely brought up will make of them that you’ve got to watch out for. Moral sclerosis – yes, that’s all I wanted to say, just stay alive and feeling and thinking – and that’s all I can say that’ll be of any use …’
文法2 1+2+3+5、意味1 2、意味2 3、意味3 1、意味4 2

花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ」より

シナジーのメタファー3

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ3



2 データベースの作成と分析

 データベースの作成については、巻末の付録を参照すること。ここでは、分析例として、クイーニーとアランの結婚式でマックスがスピーチする場面を取り上げる。エクセルのデータについては、列の前半が構文や意味の解析データ、後半が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。(花村2017)
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。ここでは「空間と時間」がその例になる。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。特に、問題解決の場面で、作家の脳の活動は強くなる。
 ゴーディマの人工知能は、一つが新しい国作りのための意欲というエキスパートシステムであり、また一つが精神的な動脈硬化を防ぐ適応能力というシステムである。

(2)データベースの各場面の信号の流れ

「文法1(助詞)」→「文法2(時制、相)」→「文法3(態)」→「文法4(様相)」→「意味1(喜怒哀楽)」→「意味2(五感)」→「意味3(振舞い)」→「意味4(無)」→「意味5(創造)」→「意味6(数字)」(言語の認知の出力は「無と創造」、これが情報の認知の入力となる)→「医学情報」→「情報の認知1(情報の捉え方)」→「セカンド 顔の表情」→「情報の認知2(記憶と学習)」→「情報の認知3(問題解決)」→「人工感情(1愛情2人格)」→「認知発達(1目的達成2非ず)」(情報の認知の出力)

花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ」より

シナジーのメタファー3

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ2

 どうにもならない無限の状態を表す「空間と時間」は、意欲を介して適応能力となり、理解、思考、判断などの総合的な能力が、南アフリカの将来を見据えたゴーディマのリスク回避につながっていく。作家もエキスパートであり、作品執筆時には特定の脳の活動があるためである。なお、一般的に空間は、右脳が処理し、時間は、感覚的にも論理的にもイメージできるため、左右の脳が関係する。

【Lのストーリー】
◆ 縦に受容 言語文学(ゴーディマ)→言語の認知→空間と時間(無限)
◆ 横の共生 空間と時間→情報の認知→意欲と知能(リスク回避と適応能力)

 社会系や理系と同様に、文学の分析にもミクロとマクロの研究を想定している。ミクロは、対照言語の専門分野が研究の対象となり、マクロは、一つが地球規模、人文の場合、国地域の比較(東西南北)であり、また一つは、研究のフォーマットのシフトが評価項目となる。フォーマットのシフトとは、Tの逆さの認知科学の定規を縦横に崩して、縦に言語の認知、横に情報の認知を取るLのフォーマットへ移行することであり、購読脳(受容)と執筆脳(共生)の活動を考察の対象にする。

花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ」より

シナジーのメタファー3

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ1

1 論文の方向性-Lのストーリー

 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることを現状のレベルでまとめている。今後、統計処理など研究の技がさらに増えていくように日々精進していきたい。この小論ではナディン・ゴーディマ(1923—2014)の“The Late Bourgeois World(ブルジョア世界の終わりに)”を題材にする。

 ヘンドリック・フェルブールト首相の在任時(1958-1966)は、アパルトヘイト全盛の時代で、政治や法律によって南アフリカ国民が強く拘束されていた。そのため、意欲や計画があっても挫折や頓挫は日常のことで、状況を打開するまでには至らない。
 アフリカ民族会議や過激派のパンアフリカ会議と並ぶ白人による反アパルトヘイト運動、アフリカ抵抗運動も、その当時、何かと遅延行為を繰り返した。1964年7月の全国一斉捜査で活動家が逮捕され、その中にはアフリカ抵抗運動のリーダーもいた。福島(1994)によると、押収された文書や供述からアフリカ抵抗運動の活動であることが判明し、活道家らに禁錮10年前後の判決が出た。マックスは、転職を繰り返しながら、こうした白人のサボタージュ運動に初期の段階から参加していた。結局、死を選ぶため、社会に適応する能力がなかったことになる。
 生活上の大きな変化やストレスが原因になる適応障害は、個人にとって重大な出来事、例えば、就学、就職、独立、転職、失業、結婚、離婚、転居、重病、死別などが症状に先んじて原因となる。本人の性格や考え方の癖、また、ストレスの感じ方も大きな影響を及ぼす。日本成人病予防協会(2014)によると、一般的に誰でもつらい出来事や思いどおりにならないこととか社会生活上のストレスにより、不安やイライラが強くなったり、憂鬱になったり、ときには投げ出したくなったりもする。しかし、適応障害の場合、ストレスに対する反応が強く現れ、精神的にも身体的にも特有の症状がみられる。

花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマ」より

シナジーのメタファー3

シナジーのメタファーのメリット

 作家の執筆脳を探るシナジーのメタファーの研究は、①Lのストーリーや②データベースの作成、さらに③論理計算や④統計処理が必要になる。しかし、最初のうちは、ある作品について全てを揃えることが難しいため、4つのうちとりあえず3つ(①、②、③または①、②、④)を条件にして、作家の執筆脳の研究をまとめるとよい。以下に、シナジーのメタファーのメリットをまとめておく。

【メリット】

🔹作家の執筆脳を分析して組み合わせを作る際、定番の読みを再考する機会が得られる。
🔹定番の読みは、外国語の場合、客観的に読めているかどうかを確認するのに便利である。
🔹データベースの作成は、作品の重読と見なせるため、外国語の習得にも応用できる。理解できる言葉であれば、何語でもよい。
🔹データベースの作成が文献学だけでは見えないものを提供するため、客観性も上がり、研究者個人の発見に繋がる。
🔹その際、フロントのカラムだけではなく、セカンドのカラムも考えると分析が濃くなる。
🔹また、形態解析ソフトなど新たにインストールすることなく、マイクロソフトのWordやExcelで手軽に取り組むことができる。
🔹論理計算を習得すると、言語文学に関する認知科学の知識が増える。
🔹データ分析により平易な統計処理ができるようになる。
🔹作家違いでデータベース間のリンクが張れると、各部門で相互依存関係も期待できる。
🔹バランスを取るために二個二個のルールが適用されれば、社会学の視点からマクロの研究に関するアイデアを育てることができる。
🔹人間の世界を理解するには、喩えだけでは物足りず、作家を一種の危機管理者または観察者と見なして、相互依存に基づいた人間の条件を理解することができる。
🔹作家の執筆脳は、世界中であまり研究対象になっていないため、研究に取り組めば、難易度の高い研究実績として評価が得られる。特に、自分自身の認知の柱を作成できるところがシナジーのメタファーの研究の面白いところである。
🔹ブログやホームページを公開する際、複数の言語を使用しながら、世界レベルの研究実績として紹介できる。

 例えば、シナジーのメタファーを外国語の習得に応用する際、エクセルファイルのカラムAに原文を順次入力していく。入力が終わったら、各行の原文を読みながら一行ずつ購読脳と執筆脳のカラムに数字を入れていく。これがリレーショナルとなり、単なる受容の読みとは異なるLの読みを提供するため、シナジーのメタファーを重読の一つに数えることができる。

 また、非言語情報のジェスチャーに、例えば、顔の部位の表情を加えると、脳の電気信号の流れをつかむための判断材料になり、セカンドのカラムも意義あるものとなる。

 今後は、作家の数を増やすことが課題になる。その際、バランスを意識して、東西南北とかオリンピックをイメージする。また、一作家の異なる小説間のリンクのみならず、作家違いでもデータベース間でリンクが張れると、予期せぬものが見えてくるため、シナジーのメタファーは分析力が上がっていく。文学をマクロに研究するには、やはり地球規模とフォーマットのシフトが必要十分な条件となる。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1

人文科学から情報、メディカルを経由して、社会科学へ向かう

 他の作家のデータベースと地球規模でシステムを構築し、相互依存関係を考察するために、セカンドのカラムも調整の材料とし、作家としての人間の条件に危機管理ないしリスク回避を設けて、病跡学とともに人文から社会への考察を機会があれば試してみたい。
 また、国地域に関しては、地球上のどこもが研究の対象となるため、言語や文化による分け隔てはない。つまり、シナジーのメタファーは、すべての言語に適応可能な研究方法である。
 イメージを作ってみよう。人文と社会の間には文化があり、人文と医学の間にはカウンセリングがある。そして、人文と情報の組でみると、例えば、コーパス、パーザー、翻訳メモリー、計量言語学(購読脳)さらには小説のLのデータベース(執筆脳)があり、一方で社会や医学と情報システムが組をなして全体的にバランスを取っている。イメージの中央にある縦横の人の目は、脳科学の役割を果たし、司令塔としてそれぞれの系列に指令を出すイメージである。
 無論、イメージの中には地球規模として東西南北からオリンピックにまで広がる国地域があり、また、Tの逆さの認知科学の定規と縦横に言語と情報の認知を取るLの定規が含まれている。こうした総合的で学際的な研究が人生をまとめるための道標として、近い将来、人文科学の研究者の共通認識になっていくとよい。
 私の文学分析は、まず人文、文化から情報、メディカルを経て個々の作家の小説のデータベースを作り、次に集団の脳の活動としてランダムなそれぞれのデータベースの分析を社会科学的にまとめるという流れである。その折、作家が危機管理者という条件でリスク回避を集団で試みていると考える。

花村嘉英(2018)「ナディン・ゴーディマと意欲」より

トーマス・マンの「魔の山」のバラツキについて7

3 まとめ
 
 リレーショナル・データベースの数字及びそこから求めた標準偏差により、トーマス・マンの「魔の山」に関して部分的ではあるが、既存の分析例が説明できている。従って、この小論の分析方法、即ちデータベースを作成する文学研究は、データ間のリンクなど人の目には見えないものを提供してくれるため、これまでよりも客観性を上げることに成功している。

【参考文献】
花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 森鴎外の「山椒大夫」のDB化とその分析 中国日语教学研究会江苏分会 2015
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018

シナジーのメタファー1

トーマス・マンの「魔の山」のバラツキについて6

2.2 標準偏差による分析

 グループA、グループB、グループC、グループDそれぞれの標準偏差を計算する。その際、場面1、場面2、場面3の特性1と特性2のそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて算術平均を出し、それぞれの値から算術平均を引き、その2乗の和集合の平均を求め、これを平方に開いていく。
 求められた各グループの標準偏差の数字は、何を表しているのだろうか。数字の意味が説明できれば、分析は、一応の成果が得られたことになる。 

◆グループA:五感(1視覚と2その他)
場面1(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
場面2(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
場面3(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
【数字からわかること】
場面1、場面2、場面3を通して、視覚情報に偏りがあるため、「魔の山」は、五感の情報にバラツキがある作品といえる。

◆グループB:ジェスチャー(1直示と2隠喩)
場面1(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
場面1、場面2、場面3を通して、比喩が多い作品といえる。

◆グループC:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)
場面1(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面2(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
場面3(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
【数字からわかること】
場面1、場面2、場面3を通して、新情報の2が多いため、講演の場面は、ストーリーがテンポよく展開していることがわかる。

◆グループD:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)
場面1(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
場面2(特性1、2個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
「魔の山」は、場面1、場面2、場面3を通して問題未解決が多いため、時間をかけて調節する時間の小説であることがわかる。

花村嘉英(2018)「トーマス・マンの『魔の山』から見えてくるバラツキについて」より

シナジーのメタファー1

トーマス・マンの「魔の山」のバラツキについて5

場面3

“Sie scheinen überrascht, mich zu sehen, Herr Castorp”, hatte er mit baritonaler Milde, schleppend, unbedingt etwa geziert und mit einem exotischen Gaumen-r gesprochen, das er jedoch nicht rollte, sondern durch ein nur einmaliges Anschlagen der Zunge gleich hinter den oberen Vorderzähnen erzeugte;
A2B1C2D1
“ich erfülle aber lediglich eine angenehme Pflicht, wenn ich bei Ihnen nun auch nach dem Rechten sehe. Ihr Verhältnis zu uns ist in eine neue Phase getreten, über Nacht ist aus dem Gaste ein Kamerad geworden…” (Das Wort “Kamerad” hatte Hans Castorp etwas geängstigt.)
A2B2C2D1
“Wer hätte es gedacht!” hatte Dr. Krokowski kameradschaftlich gescherzt… “Wer häte es gedacht an dem Abend, als ich Sie zuerst begrüßen durft und Sie meiner irrigen Auffassung – damals war sie irrig – mit der Erklärung begegneten, Sie seien vollkommen gesund.”
A2B1C2D2
Ich glaube, ich drückte damals etwas wie einen Zweifel aus, aber, ich versichere Sie, ich meinte es nicht so! Ich will mich nicht scharfsichtiger hinstellen, als ich bin, ich dachte damals an keine feuchte Stelle, ich meinte es anders, allgemeiner, philosophischer, ich verlautbarte meinen Zweifel daran, daß ‘Mensch’ und ‘vollkommene Gesundheit’ überhaupt Reimworte seien.
A1B2C2D2
Und auch heute noch, auch nach dem Verlauf Ihrer Untersuchung, kann ich, wie ich nun einmal bin, und im Unterschied von meinem verstehten Chef, diese feuchte Stelle da”- und er hatte mit der Fingerspitze leicht Hans Castorps Schulter berührt – ” nicht als im Vordergrunde des Interesses stehend erachten. Sie ist für mich eine sekundäre Erscheinung…Das Organische ist immer sekundär…”
A2B1C2D1

花村嘉英(2018)「トーマス・マンの『魔の山』から見えてくるバラツキについて」より

シナジーのメタファー1