About motivation of Nadine Gordimer viewed from “The Late Bourgeois World” 3

 From the very start I was interested in language and memory, and focused on the hippocampus of the temporal lobe by using “The True Story of Ah Q” of Luxun (1922). (Hanamura 2015)
 Luxun’s style of writing is calm and unhurried, and he mostly wrote short stories and essays. In Ah Q, the analysis image is a combination of “memory and ma-ma-hu-hu (human irresponsibility including fraudulent behavior)”. To adjust it to the generative image of “memory and chaos”, I will repeat the analysis and generation of L-model in working units of a scenario. And I can identify an unpredictable behavior (non-linearity) of the cheering crowd and the indeterminism from the approximate input information to two very different outputs between the cart driver and Ah Q (the initial value sensibility).
 The hippocampus is a group of neurons that is right behind the brain cortex which covers the temporal lobe and is string shaped like the character “S” and contains many cells. A receptor takes a neurotransmitter from the previous synapse on every part of brain in the neuron system and changes it into an electric signal, and the signal transmits from the tip of the synapse to the next neuron. The temporal cortex also has a function of auditory sensory.
 Feelings include the emotions of instinct and a feeling of awe. On the temporal side, the emotion is instantaneous and the awe is continuous. Feelings have multiple faces like delight, anger, sorrow and pleasure. The emotion is attributable to the reaction by the internal factor (emergence) and external factor (inducement). Hanamura (2017) explains that the historical novels of Ogai Mori include thought of internal factor and external factor, and “Sansho the Bailiff” is the inducement. I make a database analyzing synergic metaphors of “Ogai and feelings” to understand the activity of his brain through writing.

花村嘉英(2018)「『ブルジョワ世界の終わりに』から見たゴーディマの意欲について」より translated by Yoshihisa Hanamura

シナジーのメタファー3

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2 Human mental ability

 Human mental ability includes language, memory, feelings, thought, motivation, judgement and intelligence (adaptive ability), which collectively are called “mental expression”. These activities are generally created by brain.
 When one takes a look at each part of the brain, the prefrontal cortex of the frontal lobe controls human brain activity, for example, purposefulness, planning, motivation and feelings, and aids with movement of the upper frontal lobe and language pronunciation near the temporal lobe. The parietal lobe controls sensory information and somatic sense runs along the border with the frontal lobe and controls the sensation in the skin, like touch and pain in internal organs etc. Furthermore, there is the taste sense on the border of the temporal lobe, and the occipital lobe deals with the function of sight.

Table 1 Division of roles of the brain cortex

Division:Frontal lobe, frontal association area,
Roles:Thought, purposefulness, planning, motivation, feelings, judgement and self-repression.
Division:Frontal lobe, movement association area
Roles:This area plans the start of movement and the procedure. The instruction of movement originates here.
Somatosensory area:This area controls the sense of touch and pain and deep sense.
Vertex area:This area integrates the information of judgement, understanding and sense.
Temporal lobe, auditory area:This area controls audio information.
Temporal association cortex:Knowledge, memory, language understanding.
Visual association area:Judgement and cognition of visual information.
Visual area:Reception of visual information.
Broca’s area:Expression of language:writing and speech
Wernicke’s area:Understanding of language:reading and listening.

花村嘉英(2018)「『ブルジョワ世界の終わりに』から見たゴーディマの意欲について」より translated by Yoshihisa Hanamura

シナジーのメタファー3

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1 Motivation of Nadine Gordimer

 The anti-apartheid movement of South Africa collapsed in the 1950s. But Nadine Gordimer (1923-2014) asked herself how white people can engage in the revolution, and felt the pinch of the domestic current situation against the stream of the world and had the desire to engage in the revolution in some form. Such thinking of the author led me to stipulate that the revolution was the far-sighted risk avoidance of South Africa.
 When the liberalism of white people was in palmy days, the appeal was insufficient. The reform recommendation of that time could be justified in the present day. Even if one has the motivation, the mind will go around in circles from external factors. Such a mind could be expressed only by the combination of “space and time”.
 However, medical expressions complement it. The prefrontal cortex controls, more generally, the motivation, and the adaptive ability that links to the prefrontal cortex is expressed by the function of the entire brain. To consider the adaptive ability concerning “space and time” that Gordimer used to express endlessness, it is better to consider not only the function of prefrontal cortex but also the entire brain, that is, the function of every part of the body.
 The novel by Gordimer that this paper is based on, speaks about one day of the hero’s past and Max’s suicide holds the key. Any present stress disorder must have appeared by the time of his suicide. For example, even if one had the motivation, the adaption to society is inhibited by the restriction of politics and law. Nelson Mandela (1918-2013) was also incarcerated for about 27 years.

花村嘉英(2018)「『ブルジョワ世界の終わりに』から見たゴーディマの意欲について」より translated by Yoshihisa Hanamura

シナジーのメタファー3

シナジーのメタファーの作り方10

6 まとめ

 今後は、作家の数を増やすことが課題になる。その際、バランスを意識して、東西南北とかオリンピックをイメージする。また、一作家の異なる小説間のリンクのみならず、作家違いでもデータベース間でリンクが張れると、予期せぬものが見えてくるため、シナジーのメタファーは分析力が上がっていく。文学をマクロに研究するには、やはり地球規模とフォーマットのシフトが必要十分な条件となる。

【参考文献】
井上靖 『わが母の記』 講談社 2012
日本成人病予防協会監修 『健康管理士一般指導員受験対策講座』テキスト3「心の健康管理」 ヘルスケア出版 2014 
日本成人病予防協会監修 『健康管理士一般指導員受験対策講座』テキスト6「身体を守る健康知識」 ヘルスケア出版 2014 100-105
花村嘉英 『計算文学入門-トーマス・マンのイロニーはファジィ推論といえるのか?』 新風舎 2005
花村嘉英 『从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む』 华东理工大学出版社 2015
花村嘉英 『日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用(日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで)』 南京东南大学出版社 2017
Elkhonon Goldberg, 沼尻由紀子訳 『脳を支配する前頭葉』 講談社 2007
Nadine Gordimer The Late Bourgeois World Penguin Books, 1966(福島富士男訳『ブルジョア世界の終わりに』スリーエーネットワーク、1994)

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1

シナジーのメタファーの作り方9

5 シナジーのメタファーのメリット

 作家の執筆脳を探るシナジーのメタファーの研究は、①Lのストーリーや②データベースの作成、さらに③論理計算や④統計処理が必要になる。しかし、最初のうちは、ある作品について全てを揃えることが難しいため、4つのうちとりあえず3つ(①、②、③または①、②、④)を条件にして、作家の執筆脳の研究をまとめるとよい。以下に、シナジーのメタファーのメリットをまとめておく。

【メリット】
・作家の執筆脳を分析する際、定番の読みを再考する機会が得られる。
・データベースの作成は、作品の重読と見なせるため、外国語の習得にも応用できる。
・データベースに文系と理系のカラムがありリレーショナルといえるため、人の目には見えないものが見えてきて客観性が上がる。
・その際、フロントのカラムだけではなく、セカンドのカラムも考えると分析が濃くなる。
・形態解析ソフトなど新たにインストールすることなく、マイクロソフトのWordやExcelで手軽に取り組むことができる。
・データ分析により平易な統計処理ができるようになる。
・論理計算を習得すれば、言語文学に関する認知科学の知識が増える。
・作家違いでデータベース間のリンクが張れると、ネットワークによる相互依存関係も期待できる。
・人間の世界を理解するには、喩えだけでは不足があるため、作家を一種の危機管理者と捉え、相互に依存した人間の条件を分析していく。例えば、危機管理者としてのボーダーラインを設定する。
・作家の執筆脳は、世界中であまり研究対象になっていないため、研究に取り組めば、難易度の高い研究実績として評価が得られる。
・ブログやホームページを公開する際、複数の言語を使用しながら、世界レベルの研究実績として紹介できる。

 例えば、シナジーのメタファーを外国語の習得に応用する際、エクセルファイルのカラムAに原文を順次入力していく。入力が終わったら、各行の原文を読みながら一行ずつ購読脳と執筆脳のカラムに数字を入れていく。これがリレーショナルとなり、単なる受容の読みとは異なるLの読みを提供するため、シナジーのメタファーを重読の一つに数えることができる。
 また、非言語情報のジェスチャーに、例えば、顔の部位の表情を加えると、脳の電気信号の流れをつかむための判断材料になり、セカンドのカラムも意義あるものとなる。 

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1

シナジーのメタファーの作り方8

 購読脳の出力「認知症と適用能力」が執筆脳と想定している「記憶と連合野のバランス」と組になれば、シナジーのメタファーが成立するため、以下では脳のバランスの取り方について考える。
 脳のバランスの取り方は、文体と同様に十人十色であり、生活や仕事上の工夫なども脳のトレーニングになる。連合野をつなぐ神経細胞のネットワークの舵取りは前頭葉がしており、井上靖個人のバランスの取り方に近い一般の脳の活動が見えてくれば、「井上靖と連合野のバランス」というシナジーのメタファーを想定することができる。例えば、ジャンル違いによる執筆脳の違いを分析するのも面白い。想定しているシナジーのメタファーの分析がさらに細かくなるためである。
 ゴーディマの中でも述べたように、男性と女性で前頭葉の舵取りには違いがあり、適応型の意思決定については、井上靖(男性)の場合、状況依存型を好む。さらに状況依存型において、男性は左前頭前野皮質が活動し、言語情報を処理する場合、左半球の前部と後部がともに活動する。また、男性は片側の大脳半球の前後をつなぐ白質繊維束が大きく、片側の大脳半球の前後の機能的統合が顕著である。(表3参照)
 作者は、人間関係など熟知していることを前頭葉(思考、計画、判断)、側頭葉(聴覚)、頭頂葉(触覚)、後頭葉(視覚)などの連合野で調節しながら、家族人としてこの作品を執筆している。Goldberg (2007)によると、慣例化とか熟知性については、左前頭葉の活動が活発であり、未経験の課題、つまり新奇性は、脳の右半球と関係があるため、右前頭葉が活動する。マクロのバランスを整えるために2x2のルールがある。シナジーのメタファーの鍵となるLのイメージが組の集合体からなるため、ここでは二分率による問題解決を試みる。
「わが母の記」の執筆脳は、家族崩壊のリスクを回避するという優先事項に基づいた適応型の意思決定である。作者は男性であるため状況依存型を好み、左前頭前野と共に言語情報を処理する作者の左半球が前後に活動している。作成したデータベースから作品の記憶を種別で見ると、長期記憶が多く、意思決定は優先事項に基づいた適応型であるため、作業記憶との関連も見られる。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1

シナジーのメタファーの作り方7

4 井上靖の「わが母の記」(1975)

 井上靖(1907-1991)の「わが母の記」は、実母の終焉を綴った作品で、認知症の母を家族で支える様子が伝わるため、購読脳の出力を「認知症と適用能力」という組にする。次にこれが入力信号となり、情報の認知を通して作者の執筆脳に向っていく。井上靖の作品は、人間関係や出来事の描写が大変細やかで、常に場面毎のイメージが目に浮かぶ。そこで執筆脳を「記憶と連合野のバランス」にする。「わが母の記」は、「花の下」(1964)、「月の光」(1969)、「雪の面」(1974)という3部作からなっている。また、筆者は、認知症予防改善医療団(DMC)の認知症ケアカウンセラー(2016年12月認定)である。
 「花の下」では、八十歳になり物忘れがひどくなった母が何度も同じ事を言うようになる。郷里を離れ東京の末娘の桑子の家に移ると、認知症の症状が烈しくなり、親戚の秀才兄弟の話を一晩に何回もする。しかし、この位の軽度の認知症では日常生活に大きな支障は生じない。
 「月の光」では、郷里で母が八十五歳になっており、同じ事をさも新しいことのように繰り返す異常さが認知症の進み具合を説明している。軽井沢の夏の家では、道を尋ねた女の幻覚が母の認知症の例になる。また、ある晩息子を探しに月明かりの道をさまよい歩く徘徊もある。コミュニケーションが上手くいかず、家庭生活で支障が出る中程度まで認知症の症状が進んでいる。
 「雪の面」では、母が八十九歳になり老耄も烈しくなっている。母が夜に目を覚ますと、懐中電灯で照らして部屋に入ってくる事件が起こった。孫娘の芳子にもうどこへも出してもらえないのねと囁いた。自分は閉じ込められ監禁でもされていると思っている。母の徘徊により家族が振り回されている。また、朝食を摂ったばかりなのに、やがて夕方が来ると思い込むこともあった。認知症は高度となり、家族の生活も崩壊寸前である。
 認知症の患者は、βアミロイドの蓄積により脳内の神経細胞の神経繊維が萎縮するため海馬が萎縮してしまい、情報がスムーズに送れなくなる。また、受ける側の神経細胞も損傷し情報のやり取りがうまくいかなくなる。ここでは、作者の母の認知症のタイプをアルツハイマー型認知症としよう。日本成人病予防協会(テキスト6)(2014)によると、このタイプは、認知症の中でも最も多く、過去の体験を思い出せない記憶障害が出て、異常な言動を伴うことが頻繁に見られる。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1

シナジーのメタファーの作り方6

 マックスは、精神的な動脈硬化に罹らないようにリスク回避を試みる。妹の結婚式におけるスピーチの場面では、マックスの脳内で快楽の神経伝達物質ドーパミンが前頭葉に分泌し、間脳を経て脳幹に信号が伝わっている。この場面では、妹にまつわる長期記憶とその後の彼らを占う作業記憶のうち後者が強いため、ゴーディマの執筆脳は、前頭葉が活発に働いている。
 前頭葉の一機能といえる意思決定は、唯一の答え、つまり真実を求める決定論型と優先事項に基づいた適応型に分かれる。ゴーディマとマックスの意欲は、適応型の意思決定(反アパルトヘイト)であり、そこに執筆脳に関する解決策を求めていく。
 適応型の意思決定では、状況依存型と状況独立型のバランスが良ければいいが、一概にそうはいかない。例えば、女性は状況独立型を好み、男性は状況依存形を好む。また、比較的変化が少なければ、独立型の方が懸命であろうし、不安定な状況では依存型の方が好ましい。さらに、無限の状態は変化に乏しいため、独立型が良いであろう。しかし、前頭葉の機能には、そもそも性差がある。(Goldberg 2007:127)  

表3 前頭葉の性差

比較項目     男性        女性
適応型の意思決定 状況依存型を好む。 状況独立型を好む。
状況依存型の意思決定 左前頭前野皮質が活動する。 左右両側の後部皮質(頭頂葉)が活動する。
状況独立型の意思決定 右前頭前野皮質が活動する。 左右両側の前頭前野皮質が活動する。
大脳皮質の機能 左右の脳の違いが著しい。 前部と後部の脳の違いが顕著。
言語情報の処理 左半球の前部と後部がともに活動する。 左右の大脳半球の前頭葉がともに活動する。
脳内の結合部 片側の大脳半球の前後をつなぐ白質繊維束が大きく、片側の大脳半球の機能的統合が顕著である。左右の大脳をつなぐ脳梁の部分が太くて、大脳半球間の機能的統合が顕著である。

 表3から見ると、女性であるゴーディマの執筆脳は、左右両方の前頭前野皮質が活動していたと想定できる。これが“The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終りに)を読んで思う「空間と時間」という受容の読みを厚くしてくれる。
 「空間と時間」という購読脳の出力は、意欲を通して適応能力となり、理解、思考、判断などの総合能力によって将来を見据えた作家のリスク回避につながっていく。ゴーディマのLのストーリーは、縦の受容が言語と文学→言語の認知→「空間と時間」となり、横の共生が「空間と時間」→情報の認知→「意欲と適応能力」になる。そこから、「ゴーディマと意欲」というシナジーのメタファーが作られる。また、作成したデータベースから記憶の種別を考えると、マックスの回想が場面ごとに見られるため、エピソード記憶が多い。

花村嘉英(2018) 「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1

シナジーのメタファーの作り方5

3 ゴーディマの“The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)(1966)

 ナディン・ゴーディマ(1923-2014)は、南アフリカの白人社会の崩壊を目指す反アパルトヘイト運動に白人がどのように関与できるのかを自問し、世の中の流れに逆流する自国の現状に危機感を抱いて、何らかの形で革命に関わりたいという意欲を持っていた。こうした作家の脳の活動は、南アフリカの将来を見据えたリスク回避といえるため、特に、「意欲と適応能力」に焦点を当ててゴーディマの執筆脳について考察していく。
 ゴーディマが“The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)を書いた1960年代前半の南アフリカは、ヘンドリック・フェルブールト首相(在任1958-1966)に象徴されるアパルトヘイト全盛の時代で、いくら適応能力があっても政治や法律によりそれを発揮できなかった。そのため、心の働きでは意欲が強くなり、それに伴う計画や判断を含めた脳の活動としては、前頭葉が注目に値する。
 前頭葉は、頭頂葉や側頭葉といった他の連合野と相互関係にあり、また、本能を司る視床下部とか情動や動機づけの反応に対して判断を下す扁桃体と結びつきが強い。(Goldberg 2007:57)
 “The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)は、マックスの死を知った私の一日というストーリーで、そこには小学生の息子ボボ、マックスの両親や妹夫妻、弁護士のグレアム、87歳になる認知症の自分の祖母、運搬請負人のルークがいる。それぞれの場面で彼らがマックスのことを回想しながら、当時の南アフリカの革命に関わる一人の白人の意欲を問題にしている。
 アフリカ民族会議やそこから分裂した過激派のパンアフリカ会議と並ぶ白人による反アパルトヘイト運動、アフリカ抵抗運動も、当時、盛んにサボタージュを繰り返した。1964年7月の全国一斉捜査で活動家が逮捕され、所持していた文書や供述からアフリカ抵抗運動の活動が明るみになった。(福島 1994:187)転職を繰り返すマックスは、こうした白人のサボタージュ運動に属していて、運動初期の段階で逮捕され裁判にかけられた。
 重大な生活上の変化やストレスに満ちた生活が原因となる適応障害は、個人にとって重大な出来事(就学、就職、転居、結婚、離婚、失業、重病など)が症状に先んじて原因となる。(日本成人病予防協会(テキスト3)2014:55)マックスの場合、結婚離婚、就学就職、いずれもうまくいかない。地下組織の人たちと付き合いがあったからである。結局、死を選ぶため、社会に適応する能力がなかったことになる。
 どうにもならない精神状態を説明するときに、ゴーディマは、メディカル表現を用いて問題解決を試みる。心を頑なにして精神を狭める精神的な動脈硬化は、白人居住区が汚染地区であるため、南アフリカの白人たち全員がその対象になる。当時の南アフリカの政治と法律に縛られた無限状態を表す「空間と時間」という購読脳の出力は、情報の認知を通して、新たな国作りのための意欲と精神的な動脈硬化を予防する適応能力という執筆脳の組と相互に作用する。

花村嘉英(2018) 「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1

シナジーのメタファーの作り方4

2.3 シナジーのトレーニング
 
 花村(2017)では、人文科学が専攻の人たちのためにシナジーのトレーニングとして組のアンサンブルを説明している。シナジーという研究の対象は、元々が組からなっているためである。例えば、手のひらを閉じたり開いたりするのも、肘を伸ばしたり畳んだりするのも運動でいうシナジーである。Lのモデルができるだけ多くの組を処理できるように、シナジーの研究のトレーニングとして三つのステップを考えている。
 まず、2.1に記したシナジーの組み合わせから何れかの組を選択し、研究の方向を決める。組み合わせについては、複数対応できることが望ましい。次に、選んだ組からLに通じるテーマを作るために、人文科学と脳科学という組のみならず、ミクロとマクロ、対照と比較の言語文学、東洋と西洋などの項目を考える。また、「トーマス・マンとファジィ」はドイツ語と人工知能という組であり、「魯迅とカオス」は中国語と記憶や精神病からなる組である。そこには洋学と漢学があり、また長編と短編という組もある。 

表1 テーマの組

テーマの組  説明
文系と理系  小説を読みながら、文理のLのモデルを調節する。
人文科学と社会科学  文献学とデータの作成または統計処理を考える。
言語と文学  対照と比較双方の枠組みで小説を分析する。
東洋と西洋  東洋と西洋の発想の違いを考える。例、東洋哲学と西洋哲学、国や地域における政治、法律、経済の違い、東洋医学と西洋医学。
基礎と応用  まず、ある作家の作品を題材にしてLのモデルを作る。次に、他の作家のLのモデルと比較する。
伝統の技と先端の技  人文・文化の文献学とシナジーのストーリーを作るための文献学(テキスト共生)。ブラックボックスを消すために、テキスト共生の組を複数作る。(人文と情報、文化とバイオ、心理と医学など)
ミクロとマクロ  ミクロは主の専門の調整、マクロは複数の副専攻を交えた調節。少なくとも縦に一つ(比較)、横にもう一つ取る(共生)。

 さらに、テーマを分析するための組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、言語理論と翻訳の実践、一般(受容)と特殊(共生)、言語情報と非言語情報など。

表2 分析の組

分析の組           説明
ボトムアップとトップダウン  専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。
理論と実践  すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの論理文法が理論で、機械翻訳が実践になる。
一般と特殊  小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みであり、後者は共生の読みである。
言語情報と非言語情報  前者は言語により伝達される情報、後者はジェスチャーのような非言語情報である。
強と弱  組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に固執するため、テーマを展開させにくくなる。

 このようにして、Lのストーリーとデータベースから組のアンサンブルを調節し、トーマス・マンの「魔の山」、魯迅の「狂人日記」と「阿Q正伝」、鴎外の「山椒大夫」と「佐橋甚五郎」について考察した。計算と文学のモデルは、こうした調節が土台になっている。

花村嘉英(2018) 「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファー1